新潟産業人クラブと100年経営の会(事務局=日刊工業新聞社)は10月17日、特別共催シンポジウム「長寿企業に学ぶ持続可能な経営モデルとは」を新潟市中央区の朱鷺メッセで開催した。新潟県内外から現役経営者やその後継ぎ候補者など約70人が参加した。両会の非会員がその半数を占め、異業種交流の輪がさらに広がった。
冒頭、100年経営の会会長で当クラブ参与の北畑隆生開志専門職大学長が「本会は会社が100年以上続く存続の秘訣を勉強し、日本の長寿企業の良さを内外に発信していくことが目的」とあいさつ。現役学生の古津瑛陸氏が1期生代表として、これまでの学びや今後の起業プランを披露した。当クラブからも長谷川直哉会長(=マルト長谷川工作所〈新潟県三条市〉社長)が「老舗企業出現率が全国3位の新潟県だが、大雪や災害などを乗り越えてきた不撓(ふとう)不屈の精神が県民のDNAに刻まれている。今日の学びを今後に生かしたい」と述べ、開会した。
講演会では、大阪府を拠点に金属熱処理加工業を手がける葛村和正ダイネツ(堺市堺区)会長を招き、約200年にわたり事業展開してきた同社の長寿経営の秘話を聞いた。江戸時代の鍛冶炭卸問屋から始まった歴史や培った技術などを披露した。大火で過去の記録が焼失したこともあったが、「うそをつかないこと、誠実でいることが先祖代々の申し送り事項で、ここまでやってきた」などと語った。葛村会長の講演後、新潟県を代表する老舗でもある玉川基行玉川堂(新潟県燕市)社長、高橋竜也高儀(同三条市)社長の2人を加えた座談会も実施した。司会の石浜里奈氏の鮮やかなさばきで、三者三様の詳しい話が聞けた。参加者からは経営者ならではの質問が相次いだ。
懇親会では、長野産業人クラブを代表し、羽生田豪太羽生田鉄工所(長野市)社長が「ますますの発展をお祈りしています」と乾杯の音頭をとった。全国的にもこの規模イベントはまだ珍しいようで、近隣県や東京都のほか、名古屋産業人クラブ会員からの参加もあった。懇親が深まったところで葛村ダイネツ会長が中締めで登壇し“大阪締め”をレクチャー。「う~ちましょ」から始まる独特のかけ声や手拍子とともに、景気よく華やかにを締めくくった。
【告知】100年経営の会の事務局は12月以降、『日刊工業新聞』に特設ページを設け、今回のシンポジウムを全国に発信する予定です。